
かつて大洗山と呼ばれた、大洗台地の上にその家はある。
現在はその大半を大洗ゴルフ場が占め、周囲には大洗パークホテルなどの宿泊施設や別荘が点在する。
松林に囲まれた静謐で、しかしながら、大洗らしい明るい太陽を感じられるエリアだ。

大洗は太平洋に面している影響で、夏は涼しく、冬は暖かい。
大洗生まれ、大洗育ちの私は、小学生の頃は夏は扇風機だけで寝られるほど涼しかった。
日本全体の気温が上がっているので昔ほどではないが、気候の穏やかさは現在でも変わらない。
初夏のある日、大洗海岸の松林で読書会を行うと、真夏の暑さを想像していた参加者は、驚くほどに涼やかな風に包まれた。時々、太陽の熱を求めて、波打ち際に席を移した参加者もいるほどだ。


そんな、大洗の良さを最も感じられる場所の一つが、「祝町」と呼ばれるエリアだ。
閑静だが、車があれば5分10分で、ほとんどの生活に必要な施設にアクセスできる。
スーパー、コンビニ、ガソリンスタンド、ドラッグストア、郵便局など、必要なものは全てある。
そこに、まるで地中海から抜け出してきたような佇まいで建っているのが、今日、ご紹介する物件だ。
扉を開けた瞬間、ここが茨城であることを一度だけ忘れる
白い壁と、やわらかな曲線。アプローチを歩いて玄関にたどり着くと、松林の緑を背にした佇まいが、確かにこの土地の空気とは少しちがう時間を持っていることに気づく。
築42年。数字だけを見れば古い部類に入る家かもしれない。けれど、木造に鉄筋コンクリートを組み合わせた構造は思いのほか堅牢で、平屋であることもあり、そこまで古さを感じない。10年ほど前には浴室を、5年前にはダイニングキッチンの内装を全面的に手直ししている。古さと新しさが、違和感なく溶け合っている家だ。

エントランスに足を踏み入れると、光の入り方が変わる。
天窓から降りてくる柔らかな光が白壁に反射して、まるで浅い水の中に立っているような感覚になる。この一角のためだけに、この家を選ぶ人がいてもおかしくない——そう思わせるだけの説得力が、ある空間だ。

大きな窓から光が差し込む、家の中心
21帖のリビングダイニングは、5年前にリフォームされた家の中心だ。
特筆すべきは、その大開口。壁の多くを窓が占めていて、南向きの光が床の奥まで届く。
晴れた日の午前中にここへ立つと、照明のことをしばらく忘れてしまうだろう。風の通りもよく、周囲が木立に囲まれている湿気感は少ない。夏は素足で過ごしたくなる。

キッチンはリビングに溶け込むカウンター型。
三口のガスコンロを備え、天板の幅にゆとりがあるので、複数人で並んで料理をしても窮屈さがない。手元の収納も十分で、来客が多い暮らしにも、静かな二人の食卓にも、どちらにも応えてくれる懐の深さがある。人が集まる家にしたい人には、うってつけの配置だと言っていい。



三つの個室は、住む人の「やりたいこと」の数だけ表情を変える
リビングからつながる洋間が一つ、独立した6帖の洋間が一つ、そして11帖ある元寝室が一つ。合わせて三つの個室が、それぞれちがう性格を持っている。

6帖の洋間は、窓が大きく採光も良いので、在宅ワークの部屋にちょうどいい。オンライン会議の背景に困らない明るさがある。家族で使う場合は、子ども部屋にもいいだろう。
11帖の元寝室にいたっては、個室というより一つの空間として使いたくなる広さで、書斎にも、アトリエにも、あるいは大洗を訪れた文人たちのように、ただ静かに机に向かうための部屋にもなる。





毎日使う場所だからこそ、リフォーム済みという安心感
水回りは、この家を検討するうえで見逃せないポイントだ。浴室、キッチン、リビングといった毎日触れる場所は、数年前にまとめて刷新されている。
中古の家で最も費用と気を遣う部分が済んでいるというのは、想像以上に心強い。
浴室は広々としていて、一日の終わりに肩まで浸かれるゆとりがある。
洗面所は独立していて、洗濯機に加えて乾燥機も設置できる。



ガスは、プロパンガス、排水は浄化槽で、都市ガスや下水のエリアとは維持の仕方が少し異なる。
このあたりでは当たり前の設備だが、はじめて地方の家に触れる人は、頭の片隅に入れておくと安心だ。慣れてしまえば、維持は特別難しいことは全くなく、あとは驚くほど快適に過ごせる家である。
道路からは見えない庭と、趣味の道具をまるごと仕舞える収納という余白
この家のもう一つの主役は、外にある。
道路からは見えない位置に広がるイングリッシュガーデンは、5月の午後にお茶を淹れて過ごしたくなるような、囲われた安心感のある庭だ。人目を気にせず、自分だけの季節を味わえる。
庭の隅には小さな小屋があり、ガーデニングの道具も、BBQのセットも、まとめてしまっておける。


室内の収納も、この家は太っ腹だ。
全居室に収納があるのに加えて、3.4畳と8畳ほどの収納部屋まで別にある。サーフボードでも、キャンプ道具でも、釣りの装備でも——大洗で遊ぶための道具を持っている人ほど、この余白のありがたみが分かるはずだ。
物であふれない暮らしは、それだけで気持ちにゆとりを生む。



さて、ここからは少し、この家での過ごし方を妄想してみたい
ひと通り家を歩いてもらったところで、この空間で何ができるかを、いくつか具体的に描いてみる。
① 11帖の元寝室を、丸ごと「こもるための部屋」にする
広い一室を、寝るためではなく、没頭するために使う。壁一面に本を並べ、大きな机を一つ置けば、それだけで籠城できる書斎ができあがる。かつて大洗に滞在した文人たちが原稿に向かったように、海の近くで静かに手を動かす時間は、都会では手に入りにくい贅沢だ。集中とリフレッシュのための、別荘、保養所もいいだろう。
② 庭と小屋をひとつづきに使い、半分外で暮らす
朝は庭で土をいじり、昼は木陰でお茶を飲み、夜は小屋から道具を出してBBQを囲む。囲われた庭だからこそ、暮らしを外へ広げても落ち着いていられる。大洗の穏やかな気候は、この「半分外の生活」と相性がいい。夏でも涼しい風が抜けるこの土地なら、季節のいい時期はほとんど庭で過ごしてしまうかもしれない。
③ 大開口のLDKを、人を招くための舞台にする
幅の広いカウンターキッチンと21帖のリビングは、誰かをもてなすためにあるような設えだ。二拠点生活の拠点として週末に友人を呼ぶもよし、少人数を招く小さな会の場にするもよし。トイレが2ヶ所ある間取りは、人が集まる使い方をしても慌てずに済む。この家がもともと持っている「開かれた性格」を、素直に活かした使い方だ。
そして——この家の使い道は、じつは個人の暮らしだけにとどまらない
この物件の最大の強みは、「祝町周辺地区 地区計画」の区域内に位置していることでもある。
そのため、市街化調整区域でありながら出身地要件なく住宅の建築も可能であるため、このまま小規模リフォームをして長く楽しむもよし。ある程度の築年数が経ったら建て替えるもよし。
加えて、店舗(既存集落地区:500㎡以下)、事務所、ホテル・旅館(3,000㎡以下)等の建築も認められており、居住用途にとどまらない幅広い活用が可能だ。
そうした背景もあり、個人の別荘としても、会社の別荘、保養所、研修所などにも適した物件だ。
静かに読書するもよし、仲間と語り合うもよし、海や川で遊ぶのもいい。
大洗は、かつて磯節で「浪の花散る大洗」と大変有名になった。日本人ならお馴染みの徳川光圀(水戸黄門)も大洗の月夜を眺めて楽しんだ逸話もある。


現在の神磯の鳥居があるエリアを中心とした宮下旅館街や、大洗磯前神社周辺には、かず多くの文人が訪れ、滞在した痕跡がある。
高浜虚子や正岡子規、晩年、大洗に住んでいた山村暮鳥などだ。


文人たちもこぞって訪れた風光明媚な大洗で、あなただけの季節の時間を見つけて欲しい。